平成22年4月1日の労働基準法の改正により、時間単位の年次有給休暇の取得が可能となりました。昨年にこの制度を導入した企業は、今年は繰り越し処理が発生します。
■時間単位年休とは■
時間単位年休は、文字通り“年次有給休暇を時間単位で取得できる”制度です。この制度を導入するには、労使協定により、 ①対象労働者の範囲、 ②日数 (5日以内)、③1日の時間数、④単位時間数(2時間単位など)を決める必要があります。
■通達によると■
時間単位年休の繰り越しに関しては、「当該年度に取得されなかった年次有給休暇の残日数・時間数は、次年度に繰り越されることになるが、 当該次年度の時間単位年休の日数は、 前年度からの繰越分も含めて5日の範囲内となるものであること」と通達されています。
■具体的には■
時間単位年休の基本的な考え方は、例えば、1日の所定労働時間8時間、20日の年休の権利があった労働者の場合、20 日-(8時間×5日)=15 日+40 時間の年次有給休暇があると考えがちですが、 そのようには考えません。具体的には、次のようになります。
ある月に時間単位年休を6時間取得すると、年休残は、19日と2時間 (時間単位年休はあと34時間取得可能)となります。また、ある月に、年休5日、時間単位年休を21時間取得したとすると、21時間は、2日と5時間になりますので、消化した年休は、7日と5時間となり、年休残は11日と5時間(時間単位年休はあと13時間取得可能)となります。
■翌年度の繰り越し■
翌年度に繰り越した年次有給休暇が、 前述の11日と5時間として、 さらに新たに20日の年休が付与された場合、31日と5時間が当該年度の年次有給休暇日数となります。ここで繰り越された5時間分は、時間単位年休の40時間に加算されて45時間となるわけではなく、あくまで、時間単位年休を取得できるのは、40時間となります。